足跡

まったりゆったりDairy?

2023.11.30 逆の世界 @渋谷REX

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 電車を降りると、あまりの寒さに体が震えた。いつの間にかニットとDOFパーカーでは耐えきれない時期になっていたらしい。雨の新潟がいくら寒くとも長袖Tシャツ+パーカーで乗り越えられていたというのに、いつの間にかこんなに冬に近づいていたのか。

 

 本日は渋谷REX。たくさんの人が溢れるホールで天井のミラーボールやら人々の頭やらを眺めていると、SEが大きくなって照明が消えた。

-yureru-のイントロと共にChantyの文字を背負った四人が登場。

セットリストは以下の通り。

 

1.-yureru-

2.群青

3.フライト

4.アイシー

5.ファントムミュージック

6.m.o.b.

7.春煩い

8.君のいない世界

9.Emaj7

10.冤罪ブルース

11.最低

12.piranha

 

今回のライブは、今まで見てきたChantyのライブとは少し異なって見えた。おそらく、芥さんが輪郭を持っていたことが一番の要因である。ほんの数回しかChantyのライブは見ていないが、芥さんは毎回音や感情そのもののように見えており、人間離れてしている浮遊した存在であるとどこかで思っていたのだろう。しかし、今回の芥さんは等身大の人間であったように感じる。理由は何となく思い当たるが、ここには記さないでおく。

 

 群青、フライトと加速していき、アイシーでフロアも本人たちもギアが1個上がったように見えた。アイシーは個人的に白や薄い水色のイメージがあったため、ピンク色の照明が基調だったのが意外であった。

 

 ここでMC。タイトルを決めた経緯やタイトルの意味を語り、どういう流れであったかは忘れてしまったが芥さんが「DOFが解散したくないって思うようにしよう」「婚姻届みたいに契約したわけじゃないでしょう?」と話しているのを聞いて、思わず泣いてしまった。芥さんの強い気持ちがこちらに伝わってきたからかもしれない。ファンとは違う悔しさや悲しさ、寂しさが彼らにはあるのだろう。形は違えど皆DOFが大好きなのだ。

 活動終了の知らせを聞いたときも今も、引きとめようという気は不思議と起きず、悲しみにいくら暮れても彼らの決めたことを尊重しようと思っている。それでも、芥さんの気持ちは痛いほどわかるし、もし万が一、億が一でも撤回するなんてことが起きたら私は怒ることなく泣いて喜ぶのだろう。

 

 ファントムミュージックでHiromuさんが参戦してテンションが上がったところで、芥さんの「来年の春にはこんな気持ちになっているのだろう」という語りで春煩いだと察し、始まる前から一人静かに泣いていた。「君といる季節を閉じ込めたいんだって」本当にその通りである。今この瞬間をパッケージングして、出られないようにできたらどれだけいいか。どの歌詞も自分に重なり、ああ、ここは芥さんの気持ちなんだろうな、なんて感じながら聴いていると、演奏が止まった。暗い空間の中で芥さんが、マイクを通さずに「お別れじゃないって言ってんだろ この手を離さないで」と丁寧に歌い上げる。この歌詞にこんな想いが乗る日が来るとは。「そして誰もいなくなった」の声が消えていったあとに君のいない世界のイントロでまた涙が止まらなくなり、これ以上泣くのはステージの上にいる彼らに失礼だ、と顔をあげたらちょうど芥さんが何かを吞み込むように静かに俯いているところであった。

 

 その後冤罪ブルース、最低、piranhaと会場は少し明るくなりDOFにバトンタッチ。うまい具合に感情サンドイッチセトリにしてくれたため助かったが、それでも心も顔もよぼよぼの状態であった。

 

 お次はDOF。セットリストは以下の通り。

 

1.My World

2.有為転変は世の習い

3.insomnia

4.真実の黒

5.アンインテリジブル

6.ねえ

7.理想と現実

8.psychedelic modulation

9.結果論

10.Seven Stars

11.Röntgen

12.it is what it is.

13.人類

14.peace

 

 My Worldで爽やかに始まり、コンピレーションにも収録されている有為転変に移る。Hiromuさんの合いの手に笑顔にしてもらいつつ、相変わらず美しいVJを眺める。曲中にyuyaさんが「俺は昔じゃねぇ今を生きてる!」「そして未来を作っていこう(うろ覚え)」と言っていたのが印象的だった。最後yuyaさんとruiさんが向かい合いながら弾き、ruiさんがyuyaさんの方を指さしのそのままinsomniaのイントロへ。

 

 真実の黒でシステムエラーにより映像が止まってしまい、急遽MCになった。タイトルのyuyaさんなりの意味、アップルマークは憎いやつだという話(起動すると12時間くらい画面にいることがあるという意味で)(話の途中後ろのモニターにアップルマークが映るミラクルも)、yuyaさんのパソコン(MAC)の起動音の話をしている間にパソコンが復帰しアンインテリジブルに。

 

 「ねえ」では横のモニターに縦書きの文字が横向きで写っているのを見て、去年の赤羽ReNY alpha公演を思い出した。VJ付きの公演に行ったのは赤羽が初めてであり、歌詞がまるで詩のようにスクリーンに映るのを見て感動した覚えがある。今回はruiさんもいる状態で見ることができてよかった。

 

 そして理想と現実。個人的にメロディは好きでよく口ずさんでいる曲なのだが、一部の歌詞がピンときていないこともあってどうしても好き具合が伸びきっていなかった。あまりライブで聴けていないというのもあるかもしれない。しかし、今回映像と歌詞と音を感じながら、ここに辿り着いてよかったと思った。どうしてこの思考に行きついたのか定かでないが、とにかくこの曲ができてよかったと思った。

 

 psychedelic modulationで芥さんと野中さんが参加したあと、結果論、Seven Starsと会場の熱は上がっていく。そして突然、peaceですっと温度が下がった。それは会場の熱量が消えてしまったのではなく、peaceという曲が熱を吸い上げて爆発したように見えた。その証拠に、今回のpeaceは映像も相まってすごく爽やかで、風が吹くようだった。yuyaさんが最後に放った「これからも好きなバンドを追いかけて」「Chantyがヴィジュアル系のテッペンとれるよう願ってる」というメッセージたちに色々想いを巡らせつつ、アンコールはなしでこの日のライブは幕を閉じた。

 

 進むものと止まるもの、まさに逆の世界。そのコントラストにえも言えぬ感情を抱きながら、仕方なしに明日のことを考えるのだった。

 

12/20までにいろいろ考える 私とヴィジュアル系のこと

 今回、10/1の発表を受けて私に起きた変化の一つに、「ヴィジュアル系をずっと好きでいるのだろうな」という漠然とした気持ちが初めて揺らいだことがある。

 

 バンギャと呼べる期間はそれこそDOFを追っていたこの2年しかないが、ヴィジュアル系の音楽は親の影響で物心ついたときから聴いていたし、ライブには小学生の頃からついていっていた。親がヴィジュアル系のライブに行かなくなってからも、自分が他の趣味に熱中してる間も定期的にヴィジュアル系の音楽は聴いていた。聴くとワクワクするし、自分の心の形にぴったりフィットするような感覚がある。熱中することはなくとも、この先もなんだかんだヴィジュアル系が好きなのだろうと思っていた。

 

 しかし、発表を受けてからぼんやりと「ああ、もう無理かもしれない」と感じた。きっと聴いても彼らほど好きになれないだろうし、むしろ彼らが恋しくなって辛くなる。逃避でしかないと分かっていたが、もう触れずにいる方が楽だろうと思った。音楽に散々助けられてきたが、今回ばかりは音楽でもどうしようもない。どうしようもないんだ、と打ちひしがれていた。

 

 だが、その考えはすぐ覆されることになった。11月4日に開催された、遣らずの雨音楽祭。普段触れることのないバンドの曲やライブ、バンギャの熱量を浴びている間に、やはりライブ、ヴィジュアル系の音楽、この空間が好きだと再確認した。ふわ、と張っていた糸が緩むような思いだった。

 

 さて、そこまでヴィジュアル系が骨まで染みている私だが、先ほども述べたようにDOFくらいしか自主的に追いかけたことがない。これまで好きになったバンドも、

アリス九號.、ダウト、BORN

→ジグザグ

→ザアザア

→蟻、キズ

→DOF、Chanty…

と、おそらく偏っている。キズからDOFに来たときは何があったんだ?と自分でも疑問だった。正直、ここに挙げたバンドの共通点といえば「ヴィジュアル系バンドである」ことくらいだろう。すると、ヴィジュアル系とは何なのかという、よく挙げられる議題に思考は行きつくことになる。

 

 私は化粧をしている人間も派手な格好をしている人間も好きだ。では、現在ヴィジュアル系のシーンで活動していないバンドでもそのような格好をすれば好きになるか?と言われれば、答えは「NO」である。

 

 文章に書き起こせないほど刹那的で、ときどき飛躍しながら考えを浮かべていった結果、ヴィジュアル系とは何かという定義のようなものには辿りつかなかった。しかしヴィジュアル系の一要素として、彼らは作品を生み出す存在であると同時に、作品そのものである、という答えが浮かんだ。音楽は見ることができないから、衣装やメイクという形で彼らのやりたい表現を「視覚化」(=ヴィジュアル化)しているとも言える。

 

 音楽だけでは飽き足らず、全身を使って表現したいものを表現する。何とかっこいい生き方なのだろうか。おそらく私がヴィジュアル系に惹かれているのは、こういうところである。そう考えると、私がDOFとruiさんを好きになったことはごく自然なことなのだ。衣装、メイク、セットリスト、細部にまで意味を込められた彼らの作品はいつ見ても感動させられる。その時伝えたいことを伝える。そんな姿が好きなのだ。

 

 よく「このバンドはヴィジュアル系と呼べるのか」という話も見かけるが、私は「本人がそうだというならそうなのだろう」と思っている。結局は「ヴィジュアル系でありたいかどうか」であり、それはまるで「血」のようなものであり、バンドマンに限らずそれを好きでいる者の根底にあるものなのかもしれない。

2023.11.23 ONEMAN TOUR【    】@岡山image

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 初中国地方、初岡山。

 

 いざたどり着いても「岡山に来た!」という実感もないまま、ぼんやり桃太郎大通りを歩く。岡山まで約7時間。遠いと思っていた岡山も、思いきってしまえば案外行けるものだ。日本という国は大きいんだか小さいんだか。

 

 

 本日のセトリは以下の通り。

  1. it is what it is.
  2. 不平等の縮図
  3. ノイズ
  4. hope
  5. papillon
  6. 結果論
  7. Silent Silence
  8. I WANT MY FREEDOM
  9. 冒涜
  10. ご想像にお任せします

ヨハネスタイム~

  1. Y
  2. 100年前から、こんにちは。
  3. ephemeral
  4. 感情トリートメント
  5. voice
  6. monochro
  7. シャーデンフロイデ
  8. ボーダーライン
  9. アンインテリジブル
  10. Röntgen
  11. insomnia
  12. insert memory
  13. Develop One’s Faculties

 

 冒頭は汗だくになるほど会場を温め、Silent Silenceで雰囲気が一転ダークに。Silent SilenceからのI WANT MY FREEDOMが好きな私は心の中でガッツポーズを決めた。最初の紙を破り捨てる演出、ゆらゆら怪しく動くyuyaさん、憑依型の人間が好きな私は感情ががっつり露呈するような曲が好きだ。

 

 そして2番に挟まれた0という数字に関する話。ちゃんと覚えていないが、yuyaさん曰く「俺たちも最後には0になるけど、それは数字の0じゃなくて1つの輪なんだよ。俺たちと君たちでできた輪はこれからも続いていく」らしい。

 

 なるほど、ここでDevelop One’s Facultiesの冒頭に納得がいった。「高めあった先は0になるんだ」なんて、何でそんなことを言うんだと毎回泣いていた。0だと感じる理由は何なのか、本人にとってこの9年は0にしかならなかったのか、そう感じさせてしまったのか、Yで「高めあうことで困難な壁を乗り越えれることを」と歌っていただけあって「0」という数字が重くのしかかっていた。その「0」というのが輪のことを指していて、これからも続くというのであれば、たとえこの「0」が彼らの真に目指していたものではなかったとしても、こちらとしては幾分か救われる。

 

 そこから冒涜、ご想像にお任せしますで完全に負のオーラを纏う。ここでヨハネスタイムが始まったときは「もう半分終わったの!?」と驚いたが、後からセトリを確認したところ10曲やっていた。体感は8曲くらいだったのに。おそらくあの流れをうまく区切れるのがヨハネスタイムだったのだろう。ドラムソロの時間はワンマンでセトリを組むにあたって1つのキーになっているのだと強く感じた。

 

 100年前から、こんにちは。は、いつ聴いてもDOFを初めて見たライブのことを思い出してしまう。ラストにyuyaさんとruiさんのグータッチ、からのephemeralのイントロ。ruiさんのギターを指さしたあと、見守るようなyuyaさんの姿が印象的だった。

 

 感情トリートメントもそうだが、voiceは特にレアな曲というイメージが強く、このツアーで二回も聴けたことに驚いた後、もうBESTにも収録されており、いつでも聴ける曲になっていたのを思い出した。

 いい言い方が思い浮かばないのだが、「ああ、もう出し惜しみしなくていいんだ」と、ふと思った。本当にこれがもう彼らの全てで、今までも別に隠していたわけではないとは思うが、本当にもう何も包み隠してない状態なのだと思ったら切なくなった。

 

 voiceで泣かなかったことがないので例にもれず昨日も泣いていたわけだが、monochroのイントロがとどめを刺してきた。「もしもあのときのように」のところをyuyaさんがマイク使わなかったのはマイク越しではなくて生の声で伝えたいという気持ちの現われなのだろうか。しんみり心に染み渡るmonochroも、激しい感情のこもったmonochroも聴いてきたが、昨日は特に熱いライブでyuyaさんの気持ちが昂っていたから後者だったのだろうか。それにしてもマイクを通さずにあそこまではっきり歌が聞こえるのはすごい。

 

 そこからはシャーデンフロイデ、ボーダーラインと表題曲が続く。シャーデンフロイデはいつ見ても間奏で四人が真ん中に集まるところがMVっぽくていい。表題曲だけあってやはりライブ映えもする。insomniaの2サビ前に示し合わせたようにruiさんとHiromuさんが沈み始めたときはかっこよさに痺れた。

 

 そして最後の曲。いつ聴いても慣れることはない、バンド名を冠した曲。

 

 この日は0についての解説を受けていたため冒頭で泣くことはなかったが、「フラスコを振った夜に」からステージが見られなくなってしまった。他にも泣いてしまう曲はあるが、ステージが見られなくなって俯いてしまうのはこの曲だけだ。それでも何とか顔を上げるが、サビでまたやられる。

 

 Develop One's Faculties以外は、言ってしまえば、レア曲の頻度やMC内容などは違えど今までのライブと構成的にはそう変わらないだろう。そんな中で、Develop One's Facultiesだけ圧倒的に「終わり」の色が濃すぎる。最初に据えられている日ならばまだしも、ライブの最後に置かれている日は、その曲がその日のライブの終わりとDOFの終わりを併せて突き付けてくるのだ。ああ、きっと最後の日もこうやって終わるのだろうなと思わせてくる。耐えられるわけがない。だって終わってほしくないのだから。

 

 ワンマンツアーの残りは約半分。私が参加できるのは3本。果たして最後にはちゃんとステージを目に焼き付けることはできるのだろうか。

12/20までにいろいろ考える 私とDOFのこと①

さて、DOFの最後のワンマンツアーが始まり、10月も終わろうとしている。

 

11月中のワンマンは許可が下りなかったため一か所も行くことができない私は、今の心情でも書き記して12月に備えようと思う。なんせライブに行けば気持ちの整理がつくはず、きっと悲しい気持ちも薄れて最後には笑顔で見送ることができるはず、と思っていたのに実際はその逆で、どんどん「DOFが活動終了する」ことの現実味が薄れていくのだから。こうして今の気持ちを文章にでもしないと、いつの間にか12月20日になって、いつの間にか終わってしまう気がするのだ。

これまで頭に浮かんでいた色々なことを1つずつ整理して、たまには思い出に浸ったりなんかして、来たる終わりまで過ごそうと思う。

 

去る10月1日。例の発表がされた日。

いまだにあのツイートと画像は直視できない。OfficialサイトもTwitterも、何か調べようと開けばあのツイートが目に入り、その度に視線をずらして画面を上へスクロールする。

今まで色々なバンドが歩みを止めるところを見てきた。そしてその度に、「いつかDOFにもこういう日が来るのだから、今のうちからシミュレーションしておこう」と想像して心を慣らそうとしていた。今考えるとなんてことをしているんだと呆れる思いだが、それだけDOFの終わりは私にとって大ダメージになることがはっきり分かっていた。それだけ欠かせない存在だった。

それでもいざ「活動終了」の字を見たときは、理解ができなかった。「活動終了ってなんだ?どういう意味だったっけ?」そんな考えが頭を埋め尽くした。その後、「そんなわけない、何かの冗談じゃないか。きっとこれは現実ではない」とスマートフォンを投げ出したのだった。今まで生きていた世界とは違う、知らない世界に迷い込んだような気分だった。

今まで散々シミュレーションしてきた想像の中の解散の方が、現実の活動終了よりもはるかに現実味を帯びていた。

 

それから1週間は毎日泣いて、毎日誰もいないツイキャスで一人思いの丈を語っていた。

もう涙も出てこなくなってきたな、と思いつつ、10月8日のライブを迎えた。もちろん泣いた。それはそれは大泣きした。まず幕の向こうから聞こえてくる楽しそうな声に泣きそうになった。一発目のNPCのイントロで涙が止まらなくなり、そういう意味じゃないと分かっているのに「何で君が泣いているの?僕はずっとそばに居るよ」という歌詞が刺さって抜けなくなった。からのMy World、「少しでも君が笑顔になれるなら この場所は守るよ だからこれからも」。この日はこういった系統の歌詞がすべて涙腺を刺激してきた。その後はしばらくいつも通り楽しんでいたが、最後のyuyaさんの「泣いてる人たちいるけど俺たちは笑顔になってほしくてやってるから」という言葉にまた寂しい気持ちを思い出して泣いた。幕が閉じた後、フロアで泣いてる人全員抱きしめたいとぼんやり思いながら、物販列の波にのまれたのであった。

 

 こうして活動終了発表後初のライブを終えたものの、悲しい気持ちは依然として変わらず、現実を受け入れられることもなかった。ただ、ライブを重ねれば重ねるほど、DOFがいなくなってしまうという実感は薄れていった。最初ほど悲しい気持ちがないのは、そういう理由なのだろう。相変わらず楽しくてかっこいいライブをするものだから、「終わり」なんて忘れてしまうのだ。

そう、DOFはいつでもかっこいいのだ。いつ行ってもかっこいいライブをしてくれると分かっていたから、幸せな気持ちになれると分かっていたから、安心して会いに行けた。いてくれるだけで心強かった。だからこの2年間行ける限りのライブに行った。とても充実した2年間だった。そして今も充実している。今が充実しているのは、最後だからと遠征経験0でも構わず地方を飛び回っているから、というのが皮肉なものであるが。

(言い忘れていたが、私がDOFを知ったのは2021年のバグサミのフライヤーである。詳しくは別の記事に書いてあるので省略させていただくとしよう。)

 

 2年。2年か。長いような短いような。いや、体感では秒だったから短いのだろう。

 逆に、この2年間だけでも交わったのが奇跡のように思える。滑り込みセーフ、と言ったところだろうか。あの時フライヤーでDOFに目をつけた私を、ちゃんと検索をかけて曲を聴いた私を、「誕生日にライブに行きたいです」と打診した私を褒めてあげたい。どこか1つでも欠けていたら、今の幸せな生活はないのだから。そして本命であるruiさんに出会うこともなかった。彼のバンドマン人生を考えると、私が見られたのはそのほんの一部でしかないことが少し寂しくはあるが、それでも時間を共有できたことを嬉しく思う。DOFもruiさんも、ここまで続けてくれていたからこそ出会うことができた。続けていてくれたことに心の底から感謝をしたい。

 

あのバンドとの対バン見たかったなとか、この箱で見たかったなとか、そういうちょっとした心残りはあるものの、これまでのことに後悔は不思議なほどない。

ただ一つ、自分の性質に関しては後悔が残っている。先ほども述べたように、私がDOFを追いかけられたのはたった2年だった。それはDOFが活動してきた9年を考えると短すぎる時間だ。DOFを見ていた時間よりも知らない時間の方が圧倒的に長い。どんな方法を使っても自分が知らない頃の彼らを100%知ることは不可能で、あまりにも知らない時間が長いがゆえに、「自分はDOFのことを全然知らない」という、何と言えばいいだろうか、何か後ろめたさのようなものがあった。そのためにもともと引っ込み思案な性質も相まって、発信・発言することに臆病になっていた。それでもこれから知っていけばいい、そうしてだんだん愛情と感謝を伝えられるようになれればいい、と考えていたことを、今は後悔している。

 

これだけ色々与えてくれた彼らに、愛情すら伝えられなかった私は何か返せただろうか。いや、まだ何も返せていない。今回できる限りライブに行けるよう色々と計画を練っているが、それでも1割返せるかどうか。今からでも何かできないだろうか。そんなことを考える日々である。

【2022.08.21】BCDライブレポを書いてみる

2022年8月21日。池袋EDGEにて行われた約2年ぶりのBCDに、Develop One's Faculties(以下DOF)動員で初参加しました。とはいっても、Chantyは普段から曲を聴いており、いつかライブに行ってみたいと思っていたバンドで、ベルは気になっていたもののどの曲から聴けばいいか分からず二の足を踏んでいたバンドでした。正直全バンド目的で行ったと言っても過言ではありません。何より、「BCD」の空気感を楽しみにしていたのでチケットを手にした日からずっとワクワクしていました。

 

今回は、そんなしがないバンギャルが初ライブレポを書いてみようと思います。前回の記事とはだいぶ文体が違うので違和感しかありませんが…最初は前回の記事と同じような文体で書いていたのですが、ライブレポなのに感情の乗せにくい文章になってしまったので思い書き直した所存です。ではでは以下ライブレポをどうぞ。

 

出順はChanty、DOF、ベル(ちなみにこの出順はじゃんけんで決められました)。

 

池袋EDGEは横に長めの箱なので、上手か下手に入ると反対側が見づらいのが難点…今回は上手側に入っていたため、下手で起こっていたことはあまり記せないことご了承ください。

 

まずは一番手のChanty。セットリストは以下の通りです。

  1. ファントムミュージック
  2. インピーダンス
  3. m.o.b.
  4. 透明人間
  5. 天翔る
  6. 群青
  7. 最低
  8. 白光
  9. シロクロのメロディ

 

「ファントムミュージック」から「透明人間」まで駆け抜け、「天翔る」で一度落ち着き、新曲を入れてからのフィナーレに向け爽やかに。新旧入り混じるバランスのいいセトリでした。そんなChanty、SEと共に登場した後真っ先に行われたのは演奏ではなく万歳の音頭という型破りっぷり。芥さんの「万歳!」の声に合わせて観客で両手をあげるシュールな光景に気を取られあまり記憶が定かではありませんが、こうしてBCDが行えたことに対する万歳だった気がします。

 

そこから始まった演奏は圧巻でした。まず芥さんの声量。歌声の安定さは音源のまま、しかし声量と感情は50倍、そんな調子でした。そしてアップテンポの曲では野中さんと白さんの掛け声が加わり、さらに激しさを増します。ステージから風が吹いているんじゃないか、と思わせる勢いでした。

 

中でも目を見張ったのは「天翔る」です。楽器隊の奏でる音色が会場をそっと抱え、その中心で憑りつかれたかのようにステージを舞う芥さんの声をこれでもかと浴びさせる。もはやそのとき聴いていたのはChantyのボーカリスト・芥の歌声ではありませんでした。音そのものが、そこにいた。いや、芥さんが音と融合していた、といった方が近いかもしれません。とにかく、脳が「人が歌っている曲を聴いている」という認識を拒否したのです。

 

今考えるとぞっとしてしまうようなあの感覚を、言葉で表すのは難しい。言葉を選ばずに言えば、「Chantyは化け物であった」というのが全体の感想になりますね。生半可な気持ちでいては吞み込まれてしまう。このパワーは、おそらく会場がそれだけ大きくなっても遺憾なく発揮されるのだろうと思うと恐ろしいです。誰だ、こんな化け物バンド放置してるのは…世間だ…

 

Chantyのライブはこれが初めてであるため普段との比較はできませんが、これだけかぶりついてくるようなライブだった答えはMC中の芥さんの言葉にあるのかもしれません。ギターを奏でながらゆっくり言葉を紡ぐ芥さんの口からは「(5年前のBCDのツアーは)当初シーンから少しはみ出ていたこの3バンドで世界を変えてやろうと全国を回った」「BCDの3バンドは、顔は笑顔だけど心では争い合ってる」等、DOFやベルが好きだからこそ、リスペクトしあっているからこその好戦的なワードが飛び出していました。その言葉の通りバチバチに攻めたライブで、トッパーのChantyは十分に温まった会場を後にします。

 

お次に登場するのはDOF。セットリストは以下の通りです。

  1. 有為転変は世の習い
  2. Röntgen
  3. アンコンシャス・マインド
  4. 強迫性障害
  5. C17H19NO3
  6. マリオネット
  7. NPC
  8. 残念な唄
  9. アンインテリジブル
  10. 真実の黒
  11. peace

 

BCDのCDにも収録された「有為転変は世の習い」で幕を開き、「Röntgen」を経ての新曲ラッシュ。まさか対バンイベントでこんなに新曲を詰め込んでくるとは思ってもいなかったので衝撃でした。

 

「アンコンシャス・マインド」の間奏でHiromuさんとruiさんが向き合いながら弾いていていつもの光景に安心。どの曲かは忘れてしまいましたが、(おそらく「真実の黒」)、yuyaさんがHiromuさんの名前を呼んで二人で向き合いながら弾いていたのも微笑ましかったです。個人的に所作で一番印象に残っていたのは、ruiさんが「躁」のAメロでHiromuさんの方を指さしたあと、後ろを向きながら首元に着けているネクタイをしゅるりと外していたことですね。何気ない動作でしたが、様になっていて思わず息を吞んだファンも多いと信じています。きっと私だけじゃない。ちなみにJohannesさんの巨大ドラムスティックは「アンコンシャス・マインド」の締めにしれっと登場していました。

 

今回のアルバムの中では比較的優しい雰囲気を纏う「強迫性障害」から、「C17H19NO3」にかけて「D×M×T」が流れる間、ruiさんのギターがアコギになっていることに「C17H19NO3」終盤まで気づかないくらい照明が暗くなっていて、ダークな雰囲気が醸し出されていました。ところで「C17H19NO3」の「僕のことは好きなだけ蝕んでおくれよ」の部分を「好きなだけ弄んでおくれよ」と歌っていたような気がするのですが(8/6のライブでもそうだったような)何か理由があったりするのでしょうか?

 

そして何回やっても一向にイントロの手拍子ができるようにならない「マリオネット」の後MCにて

 

yuya「疲れた人いる?体調悪い人いない?」

rui(ステージ後方で手を挙げる)

yuya「具合悪い人は…今声出せないからスマホ鳴らして」

rui(きょろきょろとスマホを探す素振り?をする)

 

なんていう様子を見て会場がほっこりしたり。その後yuyaさんはアップルウォッチをいじって楽屋にある自分のiPhoneを鳴らして「今頃いきなり鳴ってびっくりしてるよ」なんて仰っていました。

 

MC後「NPC」から「真実の黒」までノンストップでやったのち、「peace」の前に挟んだ簡単なMC中に「すみません会場の人、2、3分押します。先に謝っておくから!」とyuyaさん。結局何分押したのかは後のお楽しみということで…こうして「peace」を歌い上げ、DOFは静かにステージから捌けていきました。

 

そしてトリのベル。セットリストは以下の通り。

  1. 真夏のバラッド
  2. 真夜中のダンス
  3. 音見世ディスコ
  4. 季節風
  5. ルフラン
  6. さよならムービースター
  7. ゼンマイピエロ
  8. やってない
  9. 東京蜃気楼

 

おそらくこの3バンドの中で一番王道(?)に近いライブをしていたのがベルだったと思います。ハロさんの煽りが上手いこと上手いこと。振りの先導もそれとなくやってくれるので、曲をあまり知らないベル初見の私でも楽しむことができました。あと衣装がかっこいい。大正ロマンというやつでしょうか?これは刺さります。どの曲も格好よく、メンバーさんそれぞれの個性が立っていて、見ていて楽しかったです。

 

一曲目の一番Aメロで正人さんが立ちながら熱唱してる振りをしていてお茶目さににっこりしたり、ハロさんのマイクが赤いことに気づいて細かいところまで徹底しているなあと感動したりしながらライブは進みます。あまり曲に詳しくないために演奏中の細かいところを覚えていられず…無念。

 

MCにて、「皆が触れてたから話するけど」とBCDツアーの話を始めたハロさん。

 

ハロ「白くんもHiromuくんも、うちのルミナとタイゾも最初からいたんじゃないかってくらい馴染んでて。Hiromuくんとはずっと高校野球の話してたんだけど…ちょっとこれ愚痴っていい?絶対皆笑ってくれるから。

今日のタイムテーブルが送られてきたときに、あ、タイムテーブルはruiさんが組んでくれました。ruiさん仕事してくれてありがとう!

それで、Chantyが出る直前に、誰かがあることに気がついたんだよ。タイムテーブルが大きく書かれてるじゃん?その下に小さく『押したバンドは罰金です』って書いてあったの!ずるくない!?契約書みたいに、お前らどうせここまで読まないだろ~って感じで!」

会場「(笑)」

ハロ「それで今日、DOF10分押しました。てことで、今日はruiさんの金でうまい飯食うぞ~!」

会場「(拍手)」

ハロ「ちなみにChantyも押してます。僕たちも多分押します(笑)」

 

皆楽しくて押してしまう始末。確かにBCDは会場の熱量も凄くて楽しかったので時間を忘れてしまうのも頷けます。

 

そして8月27日発売の新曲「さよならムービースター」を披露してくれるという嬉しいサプライズ。これに関しては会場で自分の目で見て知りたいということもあると思うので、割愛させていただきますね。

 

最後捌けるときにタイゾさんがメガネをつけたり外したりしながら観客の方を向いて歩いていて、最後に振り向いてメガネをかけてステージから姿を消したのが印象的でした。これはどうしても書きたかったので残しておきます。

 

これにてBCDは終了…と思われましたが、会場では手拍子が鳴りやまず。これはアンコールの手拍子…!久しぶりのアンコールの手拍子…!(DOFのライブは基本的にアンコールが存在しないので本当に数年ぶりだった)と意気揚々と手を叩き続けて数分後、閉ざされた幕の上にスクリーンが下りてきました。もうご存じの方がほとんどだと思うので言ってしまいますが、全国ツアー「二進化十進法」の告知映像でした!!これには会場も興奮が隠し切れず、今日一の拍手が鳴り響いていました。

 

そしてスクリーンがしまわれ、開いた幕の先にはBCDのボーカル三人と野中さん、ruiさん、位置的にお顔がよく見えなかったのですが恐らく正人さんの姿が。しかもBCDの新パーカーとおぼしきものを着ている…熱狂も熱狂。気づいたときには放心状態で夜の池袋を歩いていました。

 

BCD、楽しみだった反面ノリについていけなかったらどうしよう…と不安だった部分もあったのですが、そんなことを忘れてしまうくらい楽しいライブでした。Chantyに圧倒されてしまい芥さんの言葉をあまり覚えられていられなかったこと、ベルの曲があまり分からない状態だったことが心残りなので、BCDのツアーに参加するときは事前準備をばっちりにしていこうと思います。

 

結構な数回るので、気になる方はぜひBCD公式Twitterのツイートをチェックしてみてください!ではでは。

 

 

《各バンド公式Twitter

twitter.com

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【DOF】はじめましての日

さて、突然ではあるがここにDOF___Develop One's Faculties___との出会いを書き記しておこうと思う。これはあくまで手記なので、その時の自分にしか書けない気持ちをじゃんじゃん書き残していくつもりだ。
故に個人的な所感が多量に含まれている。もし暇つぶしに読まれることがあれば、これはあくまで一個人の独り言だということを念頭に置いておいてほしい。



前置きはここまで。
さて、出会い話の前に、軽くDOFの紹介をしておこうと思う。

Official Site】
http://dof-official.com/

Official Youtube Channel】
https://youtube.com/channel/UCK9FsdyDynXhVfhl95uTnHw



…と思ったがなにせ私はDOFを知ってから日が浅い。そしていざ彼らを何かしら言葉で表そうとすると、「DOFとは、DOFである」としか言えなくなる。奇想天外、しなやかで自由でありつつ底には不動のものが存在する彼らは、「○○っぽい感じ」などといった比況ができないのだ。唯一無二の独自のオーラを放つバンド、それがDevelop
One's Facultiesである。(このバンド名がまた良い)



私とDOFの出会いは、バグサミの告知画像だった。2021年のバグサミは、ザアザア、アリス九號.、RAZOR…と私にとっては「キタコレ」な面子だったのである。抽選の結果を待ち侘びていた私は出演アーティストたちのアー写を眺めながら毎日ニコニコしていたのだが、ある日ふとDOFのことが気になり始めた。
他のバンドとは違った、不思議な空気感のアー写。空間を広く使っているためメンバーの様子をあまりよく窺うことができない、その雰囲気に惹かれた。当時新しくバンドを発掘しようと気になるバンドを見つけては調べていた私は、いつもの如く軽い気持ちでYouTubeで検索をかけて彼らの曲を探した。真っ先に目に入ったのはその時リリースされたばかりであろうpeace/insomniaのジャケ写。初めて触れるタイプの、芸術的なそれに私は少し身構えた。なぜなら今まで私が好きになったバンドのタイプとはまったく違う、不思議な、ある意味敷居の高さを感じたからだ。


自らバンドを探し始めたのはつい最近からのことであるのだが、どれだけアー写で惹かれても音楽が肌に合わないことが多々あることを私は既に学習していた。とにかく曲を聴いてみなければ始まらないということで、Officialアカウントの動画一覧からサムネで気になった「ねえ」を選択。
数十秒後、私は画面を食い入るように見つめていた。


静かな空間、青年がキーボードに拳を落としたその刹那、暗い画面から「ねえ」と囁き声が聞こえる。そして襲ってきたのは、これまた初めて触れる音だった。少し歪んだ音、といえば良いのだろうか。ドラム、ベース、ギター、楽器ごとにすぐ音を聴き分けられるほど私の耳は良くないが、それらが一体となって私を丸々呑み込んできたことを肌が理解していた。そして歌声。あれを上手く言葉で表す方法を私は知らない。


あっという間に曲が終わり、私はその時久々の高揚感と興奮に震えていた。口元を手で抑えながら「これは好きかもしれない」なんて呟いていた。


そして次に気になった「アンインテリジブル」を聴いて、完全に堕ちたことを実感した。


またもや聴いたことのない音が私を惹き込んだのである。先程の「ねえ」とはまた違った魅力。まだ2曲しか聴いていないというのに、このバンドの引き出しの多さを垣間見たような気がした。そして、カウントとともに変わるこれは何と言うのだ、あまりにも無知すぎる!と音楽の知識の無さに顔を覆った。(その後にちゃんと調べて「変拍子」という存在を知った)
とにかくあの曲はクセになる。ギターの音も気持ちよく、途中で音が落ち着いたあとの部分(Cメロというのだろうか)がまた良い。


完全にDOFの世界に連れて行かれた私は、毎日とにかくアンインテリジブルを狂ったように聴き続けた。実はこれは私の王道パターンで、まず新しく出会った魅力的なバンドはハマったきっかけになった曲をひたすら聴く。そして昂りが落ち着いてから他の曲も聴いてみる。それによってさらにハマる。つまりこの時点で私はDOFに"沼る"一歩手前にいたのである。



そしてメンバー個人個人を意識し始めたきっかけの曲が「シャーデンフロイデ」であった。
私は何かしらを推し始める際、ハマって三日以内に対象の情報を調べつくすのが癖になっていたのだが、DOFはメンバーのことを調べるまでに結構時間があいた。当時の自分の様子から推察するに、とにかくDOFの音楽が純粋に好きで聴いていたのだろう。バンドよりも音楽の方に意識がいっていた、という表現が一番適切かもしれない。こんなことは初めてである。
ではなぜそんな私がシャーデンフロイデのMVを見てメンバーのことを知ろうとしたのか。一言でその時の気持ちを表すのであれば


「何だこの黒髪の格好いい人は!」


である。
そう思う前からシャーデンフロイデはお気に入りの曲だったためYouTubeにあるMV SPOTを何回も見ていて、歌っているというのもあってyuyaさんのお名前だけ知っていた私の目に、これまたある日ふとruiさんの姿が映った。何か一人、めちゃくちゃ動いてる人いる。でも…なんかすごく格好いい…!しかもよく見たらこの人「アンインテリジブル」でも好きな動き(?)をしていた人では…!?
そこからドボン。(沼に)
本当にそのような感じであった。とにかく格好良かった。昔からライブでもMVでも激しく動くような、情熱的な人が好きだったためかその姿に酷く魅せられた。子供が仮面ライダーを見たときのような、純然たる「すごい!格好いい!!」という気持ちが私を支配した。そこからはもう時が経つのも忘れてDOFのことを調べ上げた。最早狂気の沙汰。まだライブを見に行けているわけでもインストに参加できているわけでもないが、過去のインタビュー記事を読む限りどのメンバーもストイックで、音楽およびこのバンド活動に真摯に向き合っているということを感じて、さらに彼らの音に説得力が増したような気がした。また、それぞれの想いを知ることができたためそれを踏まえて曲を聴く楽しさも増えた。


そしてそれと同時に悔しさが湧き上がってきた。確かに能動的にバンドを探し始めたのはつい最近のことであるから仕方ないと言えば仕方ないのだが、かれこれ十年ほどこの界隈の音楽を聴いているのに何故もっと早くから彼らの存在に気づくことが出来なかったのか。あと五年くらい早く生まれたかった。DOFの結成日にタイムスリップして過去の自分に「四の五の言わずに聴いてみろ」とCDを買わせたい。廃盤音源も存在していると聞いている。メンバーの計らいでサブスク解禁されてはいるけれど、やはり音源として手元に欲しい気持ちは強い。


この衝撃的な出会いを経て、どちらかというと歌詞とMVを擦り合わせて解釈することを楽しんでいた私が曲を聴きながらそれぞれの楽器の音を拾おうとするようになった。上手く感想を言い表すために音楽の言葉を勉強するようになった。曲を「言葉」で聴いてきた私に、「音」で聴くことを教えてくれた。新しい世界を見せてくれたDOFには感謝しかない。



と、ここまで書いたが、この記事を読んでDOFのことが少しでも気になった方にはすぐにこのページを閉じて彼らの曲を聴いていただきたい。本当はライブに行って彼らの音を聴いてほしいのだが、現在この状況ではすぐ行動に移すのが難しいので致し方ない。「この記事書いてる人がこの曲のここがいいって言ってたな〜」など考えずに、とにかく自分の心で聴いてみていただきたい。恐らく、その方がその魅力に気づけると思う。まさにdon't think feel___考えるな、感じろ、である。

これまで多くの楽曲を生み出してきた彼らであるが、その表現力には底知れぬものがある。まるでそれぞれの曲にそれぞれの色が与えられているかのようだ。それでもなお"らしさ"が失われていないのは、常に彼らが彼らの表現したいものを素直に表してくれるからだろう。真っ直ぐで必要以上に飾らない、芯を強く持つその姿は尊敬に値する。私の目にはとても眩しく映っている。
これからもDOFの成長を恐れ多くも見守らせていただきたい気持ちで一杯だ。









ちなみにバグサミの抽選は外れたしワクチンの接種日とかぶったので結局行けなかった。





Develop One's Faculties
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